会長挨拶

                                                                       大路 貴久
                                                                      (富山大学)

 現代の科学技術の多くは、電磁気学を礎として発展してきたと言っても過言ではありません。特に「電磁力と電磁現象」は、機械工学や電気工学、材料工学といった基幹的な工学分野のみならず、医療やロボット、宇宙などの産業応用的な分野における計測・制御技術として広く活用されています。一方、STEMやデータサイエンスを通じた文理融合型教育が進展し、学問や研究がより一層学際的となる中、融合複合領域を歩む者同士が協調し新たな価値を生み出す共創社会の実現、そのための人材育成が強く求められています。本学会に準えれば、電磁気に精通しデータサイエンスを活用できる機械技術者といった、融合領域をカバーし俯瞰できる人材はどの産業界でも活躍が期待されます。本学会が主眼とする「電磁力と電磁現象」は、分野横断的な最先端研究の中核をなす技術であり、自動車産業や医療産業などに革新をもたらすとともに、共創社会実現のための人材育成に貢献できる技術であると言えます。

 本学会の活動として、年4回の学会誌の発行のほか、国内会議として毎年開催しているMAGDAコンファレンス(~電磁現象及び電磁力に関するコンファレンス~)、本学会と電気学会と日本機械学会の3学会持ち回りで開催する「電磁力関連のダイナミクス」シンポジウム(SEAD)を主催・共催しております。また、国際的な活動として、隔年で開催されるISEM(電磁力応用に関する国際会議)と連携を取りながら国際学術交流の裾野を広げております。地域間交流としては、日本と地中海沿岸諸国を中心として開催されるJAPMEDや、日本と東南アジア・オセアニア地域との間で開催されるAPSAEMの国際会議を実施しており、国内外を問わずアクティブに活動を続けております。

 人類社会が永続的に発展し続けるために本学会が果たすべき役割を認識し、学会員をはじめとする皆様よりご指導、ご協力とご支援を賜りながら、本学会のために全力を尽くす所存です。